一年目の教師であった私にとって、学ぶべき先輩ばかりで、職員室の先生たちは実に魅力的な人ばかりでした。
その中の教務主任の先生から、私は女性教師としての在り方を学びました。上品な立ち居振る舞い、穏やかな語り口調、何よりも子どもに対する優しい姿勢に尊敬の念をもっていました。
校内には、その先生が生けたお花が飾ってありました。放課後のひととき、お抹茶を点てて飲ませてくださったこともありました。
周囲の先生たちに心を配り、さりげない手助けをしてくださいました。正しいことを話しているのですが、決して押しつけることはせず、それでも信念は曲げない。何もかも、学ぶことばかりでした。
あるとき、女性教師にとって、大切なことを三つお話してくださいました。「まず、一つ目。美しくいること。」これには驚きました。確かに、教務主任のその方は、美しい先生でした。しかし、見た目が普通の私にしてみると、どうがんばっても美しくなることはできません。内面のことではなく、外見のことを言われるとは…なぜだろう。あまりにも意外だったのです。
今、お目にかかれるのであれば、その意図をもう一度確かめたかったのですが、数年前にお亡くなりになりました。お葬式に参列し、美しい遺影に問いかけ、感謝の気持ちを伝えました。
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